1965年の調査では、アレルギーは遺伝的な疾病でアレルギーを持つ子供は約1%と報告されていました。しかし現在、食物アレルギーを有している乳幼児は45万人と推計されており、増加の一途を辿っています。どうやらその原因は近年の生活環境によるところが大きいようです。
免疫力は何によって決まるのか、どうすれば正常な免疫力が手に入るのか調べました。

そもそも免疫力は何によって決まるのか

免疫システム全体の約7割を担っていると言われているのは「腸」で、免疫を司る細胞は「小腸」に最も多く存在します。小腸は外から入ってきた異物と栄養素を見分けて、吸収可能な栄養素のみを吸収する器官です。

この腸の機能を維持し、免疫システムを適切に活性化してくれているのが「腸内細菌たちです。腸内細菌はコロニーを形成して共栄共存しており、「腸内フローラ」と呼ばれる複雑な生態系をつくっています。この腸内フローラを構成する細菌の「種類」や「数」が多ければ多いほど細菌の働きは活発になると言われています。また、バランスも大切で「善玉菌3、悪玉菌1、日和見菌6」というのが腸内環境を良好に保つ理想の比率です。

身体に有益な働きをしてくれる善玉菌は、腸内で私たちが摂り入れた食べ物を分解する時に様々な代謝物を作り出します。この代謝物は腸内を弱酸性に保って病原菌が増えにくい環境にしてくれる上、腸の免疫細胞の働きを活発にする作用があるのです。

そして腸内フローラのバランスが9割以上決定づけられるのは「生後10ヶ月頃であることが研究で分かってきました。乳幼児期に十分な腸内フローラを形成できなかった人は、その後も腸内細菌の種類や数が少ない傾向があるそう。

つまり生後10ヵ月の段階で定着した腸内フローラのバランスが、その人の免疫力の高さ、病気やアレルギーのなりやすさ等の基本的な性質を決め、一生の健康に影響する事になるのです。

それでは、どうすれば豊かでバランスの良い腸内フローラにすることができるのでしょうか?

乳幼児期の清潔すぎる環境が免疫力をひ弱にする

良かれと思って清潔な環境で育てたら、風邪を引きやすくなってしまった。そんなことが起こり得ることをご存知でしょうか。

その理由は「腸が初期設定されるまでにどれだけの菌に触れて育ったかで免疫力が左右される」からです。赤ちゃんは自分で行動できるようになってくると、自分の手やおもちゃなど、なんでもかんでも口に入れたり舐めたりして雑菌を獲得していきます。これは物の知覚のためだけではなく、様々な菌を取り入れて免疫力を高めようとする本能とも言えるでしょう。

ですから免疫がまだ未発達な赤ちゃんだからといって

・次亜塩素酸ナトリウムやアルコールを用いた滅菌・殺菌グッズで空気や周囲を清潔にしすぎる
・おじいちゃんやおばあちゃん、近所の人などの他人との接触を避ける
・舐めているものを取り上げる、やめさせる

といったことをしていると、いつまでも免疫力が未発達のまま育ちにくくなると言えます。

もちろん掃除や手洗いうがいは必要ですが、行き過ぎた清潔さはアレルゲンや雑菌に溢れた社会で生きていくために人が本来持つべき免疫力を失わせてしまう可能性があります。良い菌とともに少し悪い働きをする菌も含めて多様な種類の菌を取り込むほうが、免疫力の高い腸内フローラを作ることができるのです。

腸内フローラのバランスが悪いとアレルギーやアトピーに

腸内細菌の種類や数が少ない腸は、腸管のバリア機能や免疫機能も弱い傾向にあります。
それらの機能が弱いと、

アレルゲンや毒素が、バリア機能の弱い腸壁から血液中に入り込んで体中にばらまかれてあちこちに炎症が起きてしまう
・過剰な免疫反応を抑制する働きをもつ免疫細胞(制御性T細胞)が少なく、適切な免疫反応ができない

という困った状態になり、アレルギーやアトピーになりやすいと言われています。腸管のバリア機能や免疫機能を高めてくれるのは「善玉菌」の作り出す代謝物ですので、アレルギーやアトピーを避けるためには善玉菌が優勢な腸内フローラを形成することが必要不可欠です。

母乳には免疫力を高める抗体や、「ビフィズス菌」や「ラクトバチルス菌」といった善玉菌のエサとなるオリゴ糖も含まれています。生後間もない赤ちゃんにはできるだけ母乳を与える事でバランスの良い腸内フローラを育み、免疫力を上げる事が出来るでしょう。また腸内細菌の種類を増やすためにも、生後6ヶ月を過ぎたら様々な食材を使った離乳食を食べさせると良いでしょう。

まとめ

腸内細菌が少なかったりバランスが悪かったりすると腸が弱り、免疫力が弱くなってしまう…

人の住まない空き家は劣化が早くなるのと似ていますね。自分たちの住処を修復したり、侵入者に対して防犯システムを適切に運用してくれるのは、腸の場合は「善玉菌」ということになります。そしてその腸の住人の数や種類のバランスは生後10ヵ月のうちに決まってしまうのです。

しかし現在進行形でお子様やご自身の免疫力を不安に思われている方も腸の免疫を高める方法があります。近年の研究で、腸内細菌の数と種類を増やして豊かでバランスの良い腸内フローラにすれば、生後10ヶ月を過ぎても免疫システムを正常にすることが可能であるということが明らかになっています。

ただ、生後10ヵ月までに定着しなかった菌は、どんなに強い菌でも腸に定着することは難しく、定期的に取り入れ続けることが必要です。

免疫力に不安のある方は、善玉菌と善玉菌の好む食物繊維を積極的に継続して摂るようにしてアレルギーになりにくく風邪に負けない健康な身体を作っていきましょう!