女性ホルモンと呼ばれるものには2種類あります。
女性らしい身体を作る働きを持つエストロゲン(卵胞ホルモン)と、妊娠状態を維持させるプロゲステロン(黄体ホルモン)です。

 

エストロゲンには、血流を良くする・肌に潤いとハリを与えるといった嬉しい作用があるため「美人ホルモン」と呼ばれるのに対し、プロゲステロンは便秘や疲労感、肌荒れなどを起こしやすくすると言われ、何かと悪者にされがち。「ブスホルモン」とまで言われることもあります。

 

ですが、肌荒れや体のだるさなどの本当の原因は、プロゲステロンの作用のせいだけではなく、ストレスや疲労、食生活の乱れや睡眠不足などによるところが大きいのです。今回は、身体に必要不可欠なプロゲステロンの働きをまとめてみました。

 

プロゲステロンの驚きの働き

プロゲステロン自体は、実は性ホルモンではありません。そのため女性に女性らしさを与える為に働くことはないのです。男性の身体でも生成されており、男女共に他の様々なホルモンの原料になっています。

 

実際に、前述の「美人ホルモン」エストロゲンもプロゲステロンを元に作られます。ストレスへの反応や、糖質・電解質のバランスの維持、血圧の制御などを行う副腎皮質ホルモンにもなりますし、男性の身体では、男性ホルモンであるテストテロンにもなる物質なのです。

 

プロゲステロン自体の働きとしては、
 ・脂肪をエネルギーに変換するのを助ける
 ・甲状腺ホルモンの働きを助ける
 ・血糖値を下げる
 ・エストロゲンが増えすぎることによる副作用を防ぐ
などが挙げられます。

 

また脳細胞の中には、血中の20倍もの濃度で存在しています。脳での役割はまだ詳細に分かっていませんが、マウスを使った実験では脳を傷つけた雄マウスにプロゲステロンを与えると、生存率や脳機能回復の度合いが向上したという結果があるのです。

 

足りないとどうなる?

通常、女性の身体では排卵の直前に卵巣の黄体の中で作られ始め、排卵後に急増するプロゲステロン

 

このホルモンが不足してしまうと
 ・イライラや頭痛を引き起こす
 ・受精卵の着床と妊娠の維持がしにくくなり妊娠しにくい状態になる
 ・更年期においては火照りやむくみの原因となる
 ・乳がんや子宮内膜がん、子宮筋腫などのリスクを高める
といった症状が出ることが研究により分かっています。

 

月経前に頭痛やイライラなど身体の不調を感じる月経前症候群(PMS)になる女性が多くいるのは広く知られています。プロゲステロンは月経前に多く分泌されるホルモンなので、「プロゲズテロンが分泌されるから不調になる」と悪者にされがちなのですが、実際は2種類のホルモンバランスの乱れや、急激なホルモン分泌量の変化に身体反応がついていかない事などが原因です。

 

月経前にプロゲステロンが不足しているとイライラや頭痛、不眠やむくみなどが起こりやすくなり、逆にエストロゲンが不足しすぎると、気分が抑うつ的になったり判断力の低下や物忘れが多くなる傾向が高いそう。

 

エストロゲンの原料でありながら、エストロゲンが増えすぎることによる副作用を防ぐ働きがあるプロゲステロンは更年期の辛い症状や月経前症候群の軽減、妊活、女性特有の疾患予防には欠かせないと言えるでしょう。

プロゲステロンを増やすには?

ストレスや疲労、食生活の乱れや睡眠不足などは自律神経を乱し、ホルモンバランスを上手く調節できなくなる要因となります。不調を感じる場合はストレスや睡眠不足の解消を心がけると同時に、プロゲステロンと似た働きをする成分を含む食材や、ホルモンの分泌を促す食材を積極的に摂取すると良いでしょう。

 

プロゲステロンと似た働きをするのは「ジオスゲニン」という成分で【ヤムイモ(自然薯)、大豆】に多く含まれます。ジオスゲニンはホルモン剤(プロゲステロン、DHEA、エストロゲン、テストテロン、コルチゾンなど)を製造する際に原料として利用されている物質。不足したホルモンの生成を助ける作用をし、富山大学の最新の研究結果では認知症予防も期待できることが示されました。

 

またプロゲステロンの分泌を促してくれる栄養素は「ビタミンE」。ビタミンEの働きと吸収を高めてくれる「ビタミンC」や「ビタミンA」を多く含む食材も一緒に摂ることが理想です。

 

 ・ビタミンA,C,Eが豊富な食材
  【パプリカ、ブロッコリー、大根葉、かぼちゃ、ほうれん草、小松菜、煎茶・抹茶】など
 ・ビタミンE【うなぎ、いくら、アーモンド等ナッツ類、アボカド、オリーブオイル、納豆】など
 ・ビタミンC【アセロラジュース、いちご、芽キャベツ、のり】など
 ・ビタミンA【レバー、しそ、ニンジン、春菊、たまご、のり】など
※人工的に合成されたプロゲスチン剤(黄体ホルモン製剤)はプロゲステロンと似た働きをしてくれる薬で、無月経、月経周期異常、月経困難症、不妊症などの治療に使われていますが、通常のプロゲステロンにはない様々な副作用が認められています。医師の指示に従って使用しましょう。

 

※医薬品としてではなく保険適用外のサプリメントとして、自然由来の物を原料としたプロゲステロン配合のクリームやジェルが販売されていますが、個人の判断で使用するとホルモンバランスを悪化させる可能性があります。医師の指導の下、定期的にホルモンのレベルを検査しながら正しく使用することが重要です。

まとめ

美人ホルモン「エストロゲン」をはじめさまざまなホルモンの原料となる「プロゲステロン」。このホルモン自体は悪者ではなく、身体にとって大切な働きをするということがお分かりいただけましたでしょうか。根本から身体のホルモンバランスを整えるためには、安易に薬に頼るよりも生活を見直し、健康的な食生活と生活リズムで快適な日々を手に入れましょう!