「腸もれ」とは?聞き馴染みのない方も多くいらっしゃると思います。腸もれと呼ばれる症状は簡単に言うと、小腸に小さな小さな隙間が開いてしまうことで、本来は体内に取り入れてはいけないものが体内に漏れてきてしまうことです。

 

小腸はガンや病気がほとんど発生せず医学的な研究があまり進んでいませんでした。というのも、小腸は新陳代謝が非常に激しく、粘膜細胞は1日ごとに新しくなっているのでガンや病気が細胞の入れ替わる速さについていけないのです。

 

そんな病気のない臓器だと思われていた小腸が近年、非常に様々な不調や病気の原因を抱えているという警告がされています。どこにどのようにしてそんな隙間ができてしまうのでしょうか?

腸もれが起こる仕組みと引き起こされる症状

小腸には吸収する表面積を増やすためにびっしりと「絨毛」とよばれるヒダがあり、その絨毛の表面には更に「微絨毛」と呼ばれるヒダ組織があります。腸内環境が悪くなったり腸が弱る生活でダメージが蓄積したりすると、この微絨毛の細胞を結合している組織が弛んできて、ヒダとヒダの間に小さな隙間が発生してしまうのです。

 

するとその隙間から、本来であれば吸収してはいけない未消化の食べ物や悪玉菌の出す毒素などが侵入して毛細血管に流れ込んでしまい、血流に乗って身体中に届けられ、様々な不調の原因になります。

 

体内に入り込んだ異物は白血球やマクロファージなどの免疫細胞に退治されるのですが、その時に炎症を引き起こすため、身体の様々な臓器を傷つけてしまいます。また、腸が正常に機能していれば異物ではないものにも抗体を作ってしまうことで食物アレルギーなどを引き起こしてしまうのです。このような腸の不調を長期に渡り受け続ける事で、様々な疾患の原因に繋がると海外の研究では報告・指摘されています。
<不調の例>
下痢、便秘、消化不良、吐き気、鼻づまり、ニキビ、肌荒れ、不定愁訴、免疫力の低下、意欲・集中力の低下など
<疾患の例>
アレルギー疾患、喘息、アトピー性皮膚炎、過敏性腸症候群、動脈硬化、糖尿病、自己免疫疾患、肝機能障害、甲状腺機能低下症、慢性疲労症候群、うつ病、自閉症、ADHD、認知症など

原因は現代社会の生活習慣にあった

「腸もれ」による不調や疾患を見ると、近年になって特に増加してきた症状が多いことにお気づきでしょうか。どうやら現代社会の食生活やストレスの多い環境が腸を弱らせ「腸もれ」の原因となっているようです。その一例を以下に挙げます。

 

・食生活の欧米化
現代の日本は食文化の欧米化により、昔に比べてたんぱく質・脂質が多く、食物線維が少ない食生活となっています。主食もご飯よりもパンや麺類など小麦を原料とした食品を食べる機会が増えているのですが、小麦製品に含まれるグルテンの過剰摂取が腸もれの原因になると言われています。

 

グルテンに含まれるグリアジンという成分は、小腸の細胞を刺激してゾヌリンという物質を分泌させます。ゾヌリンには細胞を結合している組織を弛める働きがあり、日常的に摂ることで腸もれを促してしまうのです。

 

・食物繊維が少ない食生活
食文化の欧米化により摂取する量が減ったとされる食物繊維。腸を健康に保つ為には「善玉菌」が必要不可欠なのですが、善玉菌のエサとなるのはこの食物繊維なのです。食物繊維の少ない食生活を続けていると善玉菌は減少してしまい、代わりに悪玉菌が増加していきます。悪玉菌が優勢になった腸内環境は、身体に有害な毒素の発生が多くなる上、病原菌も繁殖しやすくなり免疫細胞も弱ってしまいます。

 

・抗生物質や痛み止めなどの薬の多用
抗生物質は上手に利用すれば病気などの回復に非常に効果的ですが、腸内の有益な善玉菌も殺菌してしまいます。また、ロキソニンやアスピリン、インドメタシンなどの痛み止めは長期間服用することで副作用として腸粘膜を弱らせ、潰瘍を起こす一因と言われています。薬に頼りすぎることなく、服薬中は特に腸内環境に気を付けましょう。

 

・活性酸素の発生しやすい生活
活性酸素は殺菌性が強く、身体にとって害となるものにさらされた時にそれに対抗しようと作られます。しかしその量が多すぎると私たちの身体まで傷つけてしまうのです。

 

細菌やウイルスに感染した時や、睡眠不足や強いストレス、喫煙、紫外線、排気ガスなどが原因で大量に発生し、遺伝子を傷つけ細胞を劣化させてしまいます。活性酸素が多く発生する生活をしていると腸の細胞も傷つき、回復しにくい状態になります。

腸もれを治し、予防するには?

開いてしまった隙間を塞ぐには、腸の新陳代謝を促して腸粘膜を修復させなければなりません。それを助けてくれるのは「短鎖脂肪酸」という物質です。

 

短鎖脂肪酸は
・粘膜の炎症を防いで保護し、粘液の分泌を活性化させる
・水分や栄養を吸収する腸壁の細胞のエネルギー源となる
・善玉菌が増えやすい環境にし、腸内環境を整える
という優れた特徴があり、腸内細菌が食物繊維をエサとして分解した時に代謝物として生成されます。

 

ですので食物繊維、特に「水溶性食物繊維」が短鎖脂肪酸をより多く生み出すため、毎日の食事で積極的に摂取することが自分の力で腸もれを治す近道となります。
海藻類 わかめ、もずく、めかぶ、昆布など
きのこ類 しいたけ、なめこ、えのき、しめじ、エリンギなど
野菜類 オクラ、ヤマイモ、インゲン豆、にんにく、ごぼう、キャベツ、芽キャベツ、明日葉、モロヘイヤ、エシャロット、切り干し大根、納豆、こんにゃく、かんぴょう、寒天など
果物類 アボカド、プルーン、イチジク、ゆずなど

また、腸内を一時的に弱酸性にしてくれる「お酢」や、善玉菌を増やす発酵食品を食事に加えることも非常に有効です。ヨーグルトやチーズ、味噌、ぬか漬けなどお漬物も上手に摂りましょう!

まとめ

もはや現代病とも言える腸もれ。原因のはっきりしない身体の不調を感じる時は腸がSOSを発しているのかもしれません。『栄養を吸収して私たちの健康を維持する臓器』である小腸を『毒素や異物を吸収して不調の元を撒き散らす臓器』にしないよう、生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。